土砂災害防止法の概要
法律の概要と背景についてご説明します。
土砂災害防止法とは
「土砂災害防止法」とは、土砂災害から国民の生命を守るため、土砂災害のおそれのある区域についての危険の周知、警戒避難体制の整備、住宅等の新規立地の抑制、既存住宅の移転促進等のソフト対策を推進しようとするものです。
対象となる土砂災害とは
土砂災害とは、下記に示す3種類のものを発生原因として国民の生命又は身体に生じる被害をいいます。
⼟⽯流 | 山腹が崩壊して生じた土石等又は渓流の土石等が水と一体となって流下する自然現象。 |
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急傾斜地の崩壊 | 傾斜度が30度以上である土地が崩壊する自然現象。 |
地すべり | 土地の一部が地下水等に起因して滑る自然現象又はこれに伴って移動する自然現象。 |
法律制定の背景
急傾斜地崩壊危険箇所と整備箇所数の推移
昭和57年 | 昭和62年 | 平成4年 | 平成9年 | 平成14年 | |
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急傾斜地崩壊危険箇所 | 72,258 | 77,242 | 81,850 | 86,651 | 113,557 |
整備箇所数の推移 | 7,300 | 9,800 | 13,300 | 17,200 | 20,600 |
- 急傾斜地崩壊危険箇所:傾斜度30度以上、斜面高さ5m以上の急傾斜地で5戸以上の家屋がある箇所
- 整備箇所数の推移:傾崩壊防止施設などにより整備された箇所
- 土砂災害危険箇所(土石流危険渓流、地すべり危険箇所、急傾斜地崩壊危険箇所の総称)は、土砂災害に対する警戒避難体制の整備等に資することを目的に、昭和41年度以降、調査・公表した箇所です。このような警戒避難体制の整備等を要する区域の調査・公表の仕組みは土砂災害防止法に引き継がれ、これに基づき土砂災害警戒区域等の指定・公表が進められ、全国的に区域指定が一通り完了したため、現在は土砂災害危険箇所に替わり、土砂災害警戒区域等を使用することとなっています。
土砂災害は毎年のように全国各地で発生しており、私たちの暮らしに大きな被害を与えています。
また、その一方で、新たな宅地開発が進み、それに伴って土砂災害の発生するおそれのある危険な箇所も年々増加し続けています。そのようなすべての危険箇所を対策工事により安全な状態にしていくには、膨大な時間と費用が必要となります。
災害から人命や財産を守るためには、土砂災害防止工事等のハード対策と併せて、土砂災害の危険性のある区域を明らかにし、その中で警戒避難体制の整備や危険箇所への新規住宅等の立地抑制等のソフト対策を充実させていくことが大切なのです。
区域指定の流れ
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土砂災害防止対策基本指針の作成(国土交通大臣)
- 土砂災害防止のための対策の推進に関する基本的な指針
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基礎調査の実施(都道府県)
- 土砂災害により被害を受けるおそれのある区域の地形、地質、土地利用状況等の調査
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基礎調査の結果の公表(都道府県)
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土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域の指定(都道府県知事)
- 土砂災害のおそれのある区域の指定
- 建築物に損壊が生じ、住民に著しい危害が生じるおそれのある区域の指定